
道路、街路、公園などの照明灯は交通や都市生活の安全を確保するうえで欠かせない。とくに街路や公園の照明灯は、都市の景観を向上させるためには必要不可欠である。
この照明灯の支柱が照明柱と呼ばれる金属製のポールだ。照明柱は1960年、住友金属建材が「スミポール」として国内で初めて商品化に成功したもので、以降、デザインポール、標識柱、信号柱、スカイタワー(野外スポーツ施設などで使われている照明鉄塔)、多目的柱(照明柱、標識柱、信号柱を一体化させたポール)など、そのバリエーションを次々と商品化し、公共スペースの安全確保のためには欠かせない設備の支柱として全国に普及している。
このスミポールの普及・販売推進の主力的役割を果たしてきたのが住友金属グループの住金物産建材株式会社である。スミポールの販売は、設置場所がそれぞれ異なるうえ、設置場所に応じた強度や周囲の環境に溶け込んだ形状が必要なため、基本的には受注販売である。さらに近年では、九州・柳川市の水をイメージしたポールや、鹿児島市の薩摩切子をイメージしたポールなど、各自治体が町の景観向上の一環として、ポールのデザインにもさまざまな工夫を凝らしている。
したがって、スミポールの販売にあたっては、ポール自体の品質と安全性はもちろんのこと、形状のデザイン性も顧客満足度を高めるという点できわめて重要になっている。
そこで、設計の迅速化と顧客満足度の高い設計品質をめざし、同社が取り組んだのが「設計WAN」の構築である。
住金物産建材株式会社は1993年頃から福岡支店、広島支店、仙台支店にAutoCADをスタンドアロンで導入し、スミポール設計の効率化を図ってきた。
ところが、受注件数が伸びるにつれて、設計を外部委託している支店では、顧客のニーズに応じた迅速な設計という点で、さまざまな支障が生じてきた。また、社内設計をしている3支店でも、営業部員はCADを操作できないため、受注活動における迅速できめ細やかな対応という面で、何かと不便を強いられていた。
本来、スミポール設計は、受注案件ごとに設計要件は異なるものの共通部分が多い。しかし、社内設計体制の支店も、外部委託設計の支店も、設計データの共有基盤がないため、全社的に見ると設計ロスともいえるムダが多かったのである。
同業社間の競争が激化するなか、競合に打ち勝って顧客にスミポールの採用を決定してもらうためには、顧客サービスの強化と適正価格の提示が不可欠である。すなわち、顧客のニーズを隅々まで汲み取った設計提案と、迅速な設計アウトプット、それに設計体制の合理化による設計コストダウンである。
この3つの問題を一挙に解決するため、同社福岡支店が中心となって「設計WAN」の構築が推進されたのである。
これは販売拠点である全国5支店、1営業所、本社の設計部のAutoCADと営業部のパソコンにイーサネットLANが接続され、このLANをインターネットVPNで結び、「設計WAN」(広域ネットワーク)を構成している。
また、福岡支店にWebサーバを設置。新たに導入したドキュメント管理システム『VisualFinder』によって、全拠点の設計データと図面が蓄積され、全拠点のAutoCADおよびパソコンでこのデータベースが検索できるようになっている。
