
株式会社坂田基禎建築研究所は、坂田基禎氏が1985年6月に創設したアトリエ系の建築設計事務所で、現在、所員は7名。京都と大阪の2ヵ所に拠点がある。 少数精鋭主義のアトリエ建築設計事務所が大きな決意を秘め、グラフィソフトジャパンの3次元CAD『ArchiCAD』を導入したのは1997年のことだった。当時は試行錯誤のなかでの導入だったが、大塚商会の展示会で『ArchiCAD』を一目見て惚れ込んだという坂田氏のリーダーシップのもと、最年長でも30代前半という若い所員はすぐに『ArchiCAD』をマスターし、本格的な3次元CADの活用がスタートした。
『ArchiCAD』は、3次元の状態で検討した建築デザインから、平面図・立体図・断面図を自動作成し、計画設計から実施設計まで一貫して設計作業ができる、優れたツールである。坂田氏は、3次元モデルや平面図・断面図などが連動している点や、モデリングを含めたオペレーションが簡単に行える点を高く評価した。その後、坂田氏は、『ArchiCAD』のユーザー会(UserGroup KANSAI)の世話役や、メーカー主催のセミナー講師を務めるなど、その普及にも多大な貢献をしている。
そもそも坂田氏が3次元CAD『ArchiCAD』を導入した理由は、これからの時代は3次元CADを活用しなければ生き残れないという危機意識と、顧客満足度の向上という二つの側面からだった。そして今では、当初の狙いどおりの効果を発揮している。「我々のアドバンテージは、企画力と計画力とデザイン力、そしてフットワークの良さです。それに加えて、3次元CAD『ArchiCAD』を使ったプレゼンテーションにより、クライアントとのコミュニケーションが円滑に行えるようになりました。その結果、以前は個人向け住宅の設計が中心でしたが、今では官公庁の仕事の足がかりも徐々にできつつあり、比較的規模の大きな施設や長野県など遠隔地からの仕事の依頼も増えています」と坂田氏は語り、3次元CAD『ArchiCAD』の活用で仕事の幅を大きく広げている様子だ。
取扱う物件の規模も大きくなり、ビッグプロジェクトが増えるようになると、当然のことながら所員を含む複数の設計者が物件に携わることになる。 そのため坂田氏は、3次元データの整理や管理にも気を配るようになった。
「物件の規模が少し大きくなったので、これからはデータの整理をきちんとしておかないとだめだと実感しています。今進めているプロジェクトは、完成するまでに1年くらいかかりますから、それまでにデータを整理して、完成した頃には、3次元CADシステムでデータを管理するひとつのビジネスモデルとしてまとめたいと思っています。そうしておけば、同じような規模の大きな仕事がきたときに、スムーズに対応できるようになるからです。その意味では、現在取り組んでいるプ ロジェクトは、仕事のやり方をステップアップさせる大きなきっかけになるものといえます」と坂田氏は語る。
坂田氏は、昨年秋にリリースされたファシリティマネジメントツール『ArchiFM』の活用に大きな期待を寄せている。これにより、レイアウト変更などのシミュレーションがビジュアル的にわかりやすく行えるようになるからだ。
「例えば、オフィスのレイアウトを変更するときに、何をどこに動かすかを言葉で説明してもわかりづらいですが、移動させるものを立体的に表示して、それを画面上で移動させれば非常にわかりやすくなります。ただ、このような形で『ArchiFM』を活用するためには、先方にも『ArchiCAD』を導入してもらわなければならないので、まだ実際には使っていませんが、『ArchiFM』を使うことでコミュニケーションはより一層円滑になるでしょうね」と期待している。
