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TOP導入事例集株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所様

株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所様

従来の課題を解消するためにCAD運用ルールをマニュアル化

こうしてスタートしたCADフォーマット委員会は、マニュアル策定の背景として三つの問題点を挙げた。ひとつは、CAD入力仕様が定まっていないために設計者の負担が大きいこと。二つ目は、設計者によって寸法の書き方などCAD表現にバラツキがあるため、顧客の不満要因になっていること。三つ目は、CADデータの蓄積と共有化が図られていないため、将来的な情報活用という面で不安があることだった。さらに、「楽していい仕事をする方法はないか」という命題を掲げ、それらの解決策として、CAD運用ルールのマニュアル化、教育プログラムの作成、サポート体制の確立を目指した。その結果、設計作業を組織全体として運用する基本ルールであり、設計を支援するための総合的なCADフォーマットを作り上げた。


「昨年度末にCADソフトを『AutoCAD LT』から『Autodesk Architectural Desktop』(通称ADT)へアップグレードしました。またADTのメニューには、大塚商会によって独自のものを構築してもらい、さらなる作業の効率化も図っています。以前のCADソフトは、乗り物に喩えると自転車のようなもので、ADTはいわばクルマです。自転車は自分で乗り方を覚えて走れるので自由度が高いですが、目的地に辿り着くまでにペダルをたくさんこがなければならないし、時間もかかります。一方、クルマは何十倍も早く進めますが、スピードが出るので大きな事故につながり、道(ルール)と運転免許証(技量)がないと快適には走れません。それと同じように、ADTを利用するための運用上のルールをまず作る必要がありました。また、自転車のように体で覚えられるほど単純なものではないので、ADTを習得するための教育プログラムを作り、会社全体のスキルアップを高める必要があります。さらに、何かトラブルが発生したときに短期間で修復できるサポート体制を確立する必要があります。これら三つをCADフォーマット仕様の3本柱に掲げ、その第一段階として、今回、CAD運用ルールのマニュアルを作成したわけです」と後藤氏は語る。

同社では、2003年3月に情報共有基盤としてWeb型グループウエア『サイボウズ』も導入しており、今回のCADフォーマット委員会の討議内容は、『サイボウズ』の掲示板にすべて公開しながらプロジェクトを進行していった。これにより、討議に参加できない社員もワーキングの進捗状況が把握できるようになり、次回の討議テーマを掲示することによって、それに興味を持った人が自由に意見を述べられるような環境づくりも行った。その結果、社内全体の意識も徐々に高まっていったという。「会社全体でプロジェクトを支援してくれたことも、今回の成功要因のひとつです。特に常務が委員長として、プロジェクトを旗揚げした我々スタッフを応援してくれる体制を整えてくれたので、メンバーの意欲もかきたてられましたね」と後藤氏は会社全体として取り組むことの重要性を強調する。

今後のプロジェクト展開で教育やサポート体制も確立

今回作成したマニュアルでは、1.基本ルール(製図仕様)、2.運用ルール(ルール適用のための補助策)、3.活用ルール(設計データの管理と共有化)を定めた。このうち、基本ルールでは、図面の種類やファイル名、図面表記(JIS準拠)の統一、将来のCALS対応を踏まえたレイヤ分類を行った。運用ルールでは、ADTの運用方法の標準化、標準部品集の整備、データを受渡しするパートナーとの連携強化を図り、活用ルールでは、データを保管するフォルダの運用方法や、図書管理に関するルールなどを定めた。

 
CADフォーマットの3本柱

「マニュアルを作成して終わりではなく、社会情勢やエンドユーザーの要望などに応じて、その内容も変わっていくでしょうから、PDCAサイクルの流れのなかで継続的に見直しながら、常に最適なCAD環境になるように目指していきます」と後藤氏は時代の流れに応じてマニュアルの内容を柔軟に見直していく考えだ。

現在は、プロジェクトの第二段階の教育プログラムの作成に着手しており、さらに今後は、第三段階のサポート体制を確立していく。今回のCAD標準化のため仕様策定を出発点に、今後の同社の社員教育やドキュメント管理についても継続して取材を続け順次掲載していく予定である。

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