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株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所(通称JRE設計)は、国鉄の民営化によるJR東日本の発足から2年後の1989年4月に設立されて以来、鉄道建築設計のトップランナーとして、質の高い魅力的な空間の提案と実現に努め、顧客に安心・信頼を与えるトータルデザインのコンサルティングを目指している。当初から建築設計業務に留まらず、駅ビルの商環境を調査してマーケティングやコンセプト提案などを受け持つとともに、工事の発注から工程管理などのマネージメント分野にも事業領域を広げ、川上から川下まで建築設計事務所というフィールドに捕われない事業を展開。 |
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特に最近では、JR東日本の駅や駅ビルが次々にリニューアルされ、新たな商業施設として注目を浴びているが、それらのプロジェクトの計画設計を担っているのが同社である。 例えば、商業施設とオフィスの複合ビルとして誕生した「JR東急目黒ビル」は、鉄道建築協会賞の入選特別賞を受賞するなど、そのデザイン性も高く評価されている。年間売上高も、設立当初は7億円だったものが、2002年度には45億円に伸び、建築設計業界で14位(伸び率11%)にランキング。 リニューアル部門に限れば2位へと躍進している。
同社は設立当時から、社長自らがコンピュータを使った設計の必要性を訴え、社員ひとり1台のパソコン環境を整備し、当時はまだ高価だったCADソフトを使った設計にもいち早く着手。 現在は、従来の製図版からCADにほぼ100%置き換わっている。 ところが、CAD利用のルールが標準化されていなかったために、さまざまな面で課題が生じていた。
そこで、そうした課題を解決するためのプロジェクトを発足させ、旗振り役を担った技術管理部課長の後藤氏は、「社内にCADの標準設定がないため、毎回、担当者が個別に行っていたのが現状でした。 また、ルールが統一されずに作られたCADデータは、社内の共有資産として二次利用することが困難でした。当社ではこれまでに過去数回、CAD設定の標準化に向けた取り組みを試みてきたのですが、毎回挫折していたのです。 その反省点として、組織として策定の専門チームを設定できなかったことが挙げられます。本業の片手間に構築できるほど、簡単なものではなかったわけですね。そうしたなか、国がe-Japan構想を掲げ、国土交通省が建設CALS/ECを推進。 また、JR東日本のCADデータ標準化への動きがあり、当社がその仕様設定の担い手として期待されるようになりました。
そこで、これまでの取り組み方を見直し、外部専門スタッフとして大塚商会さんに協力していただきながら、CADフォーマット構築に取り組むことにしたのです」と語る。
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今回、CADフォーマットを策定するにあたり、CADフォーマット委員会を発足。 この委員会の委員長には常務取締役の杉村貞夫氏が就任し、まず後藤氏を中心とする5、6名のコアメンバーと、スポット参加のサブメンバーなどによって構成された。 これに外部専門スタッフとして大塚商会の専属スタッフが定例会に加わり、マニュアル(仕様書)の作成に向けたコンサルティング業務を行うことになった。 |
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大塚商会を外部専門スタッフに選定した理由について、後藤氏は、「いろいろな会社でCADコンサルティングを行っている豊富な実績と高い技術力があることが一番の選定理由です。また、大塚商会さんには、ソフトウエア導入時のコンサルティングなど当社のIT全般をサポートしていただいているので、当社の実情にも精通されていましたし、JR東日本にもCADソフトを導入するなどグループとしての実績もあり、今回も安心してお任せできるだろうと判断しました」と語る。
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CADフォーマット委員会は、2003年6月から活動をスタートし、4ヶ月という短期間でマニュアルを完成させることを目指した。 というのも、あまり長い時間をかけると、参加メンバーの体力を消耗し、自然消滅しかねないと考えたからだった。 「最初に、私の方でおおまかなゴールイメージを想定して、マニュアルのもとになる素材をいくつか提示しました。そして、そのゴールを迎えるうえで、具体的にどういう順序で議論を進めたらいいのか、大塚商会の方にワーキングスケジュールを作成していただき、それに基づいて、週一回のペースで3ヵ月、合計12回の会議を開きました。 その結果、ワーキングの会議では、作成するマニュアルの項目を順番に承認していく形となり、余分な時間を費やさずにスムーズに運びました。そのうえで、残りの1ヶ月でマニュアル作成の実作業とカスタマイズを大塚商会さんにお願いしました。 これにより、参加メンバーの負担が軽減され、通常業務にも支障を来たすことなく、CAD運用上の課題の解決策を考えることに専念することができたのです。この点が、今回のプロジェクトの一番の成功要因だと思います」と後藤氏は社内メンバーと外部スタッフとの役割分担の重要性を強調する。 |
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その一方で、むしろ苦労したのは、CADフォーマット委員会を立ち上げる前段階で、事前に社内のコンセンサスを得ることだったという。「社内にはいろいろな考え方をする人がいるので、目標となるゴールを設定するのがなかなか難しいのです。 しかし、ゴールをきちんと決めておかないと走れないわけですね。そのコース設定をする作業が一番苦労したところです」と後藤氏は振り返る。