
アーネストホーム株式会社は1982年に設立され、現在、本社は東京都港区の青山にある。東京、埼玉、千葉などを中心に、自由設計の注文住宅の設計・施工を行う一方、地方向けには設計のみを受注し、施工は地元の施工業者に委託するという事業展開を行っている。
住宅業界全体での建設需要が伸び悩む中、同社はプレゼンテーションから設計・施工、完成後のアフターフォローまでを一社で一括して行うという強みを活かし、安定した受注を続けている。工法はツーバイフォー、重量鉄骨、鉄筋コンクリートと、いずれも堅牢さと断熱性に優れた建物造りである。そして何よりも意匠をこらしたデザインを得意としている建築会社だ。住み手のライフスタイルにあわせたデザインと、機能的な住空間にこだわり、個性的な住まいを提供し続けている。
建築主は富裕層で、1棟あたりの平均坪単価は150万円から200万円、総建築費用は億単位になる。もともと同社の個性的な住宅を注文する顧客層は、高級志向で家に対するこだわりも大きいこともあり、打ち合わせから完成までの期間は2年から3年程度かかるのが普通だという。そのため、年間受注は35〜40棟のペースと、それほど多くはない。
社員数は120名ほどで、そのうち設計関連業務に従事している従業員が約半数を占める。残りの半分が現場、営業、管理部門の人材だ。そのアーネストホームが潜在顧客を自社の受注に結びつけるために、知恵を絞っている。手始めに、同社では、顧客に対する営業用のプレゼンテーションツールとして、2000年頃から『ArchiCAD』やCGソフトを導入、営業促進に活用している。
「『ArchiCAD』は建物の平面図やパースの3D化に威力を発揮します。弊社では、家を建てるにあたり、どの住宅メーカーに依頼しようかと迷っているお客様に対する最初のステップとして、具体的な住宅イメージをプレゼンテーションするために、このツールを使っています」とプレゼンテーションの重要性を強調するのは、情報管理部部長の金井宏之氏だ。
同社では、営業ツールとしての図面と設計図面とを分け、最初に顧客に対して説明をする段階では、住宅の全体像を把握してもらえるようCGを使い、プレゼンテーションを行うのだという。「最初は、具体的にキッチンやリビングなどの間取りの広さや詳細にこだわるというよりも、建物全体のフォルム、たとえば半地下があるのかどうか、あるいはガレージの場所などについて、お客様はお聞きになりたいのです。ですから、初期段階においては、全体のイメージを持っていただくことが重要だと考えました。『ArchiCAD』はデータを入れておけば、壁を描くと、3Dが立ち上がるようになっています。営業向けの図面やCGによるパースなどをお客様にお見せするために、親和性の良いソフトを導入し、プレゼンテーションのツールとして、またパースの作成にも重宝しています」と述べるのは情報管理部中村勉氏だ。
『ArchiCAD』を導入して4〜5年が経つが、このシステムを使用する以前は、設計に他社の2次元CADを使っていた。「ところが、プレゼンテーションの段階で使ったせっかくのデータを、それだけで捨ててしまうのはもったいないという話になり、それを継続して利用、意匠設計にも応用できるような形にしました」と現状に即した仕様に、徐々に変えてきた経緯を金井氏は説明する。
「『ArchiCAD』の場合、3Dで使えるため、通常の平面図や立面図のように、修正箇所をそれぞれの図面で直さなければならないところを、1ヵ所修正すれば作業が済むため、作業効率が上がるという。しかも、従来は手書きで行っていたパースの作成もシステムを使い、3DCGで見せることができるため、ビジュアルとして、より効果的なプレゼンテーションを行うことができるようになったという。「簡単な色の違いを出すのに、手書きではパースを書き直さなければならないが、CGであれば、変更が比較的容易で、いくつかのバリエーションをお見せすることもできる。担当者が変わっても、一定のクオリティを保ち、作業もマニュアル化しやすい。なんといっても仕事のスピードアップにつながります。お客様としては、当然複数の会社に見積もりを出すわけで、1日でも早く、ある程度の形でお見せすることができるというのは重要になります。その意味においては、売上にもシステムを導入したことの成果が出ているのではないでしょうか」と金井氏は語る。
しかしもちろん、新しいシステムが一気に社内に浸透したというわけではなかった。

『ArchiCAD』やCGソフトを使用して、図面やパースの3D化を図る